【前回の記事】で、1回目よりも2回目の採卵の方が、凍結数や胚のグレードが良くなっていたことをお話ししました。
今思い返してみると、その2回目の採卵の前に、夫婦で新しく始めたことが6つあったんです。もしかしたら、これらの取り組みが成績アップに関係したのかもしれないーーそう感じました。
そこで今回は、自分自身の記録も兼ねて、その6つを振り返ってみたいと思います。
「凍結の成績が良くなることってあるんだ」「これなら自分たちも取り入れられそう」など、みなさんの気持ちが少しでも軽くなれば嬉しいです。
※実際の凍結数や胚のグレードについては、【前回の記事】に記載しています。よければそちらも合わせてご覧ください。
①毎日ごはんを作る暮らしを始めた
1回目と2回目の採卵で、大きく違っていたのは「私が仕事を辞めていたこと」でした。
この変化が、食生活にも自然と影響を与えていたように思います。
1回目のときはまだ仕事をしていて、休日に2~3日分の作り置きをするスタイル。一度にまとめて作る分、品数も食材もどうしても限られていました。
でも、2回目の採卵の前には仕事を辞めていたことで、時間と心に余裕ができて、毎日ごはんを作れるようになりました。出来立てを食べられるようになったのはもちろん、日々の料理の中でいろんな食材を使えるようになり、自然と品目数も増えていったんです。
「整えよう」と意識したわけではなかったけれど、結果的に体に良い食生活になっていたのかもしれません。
②睡眠時間をしっかり取り始めた
私が仕事をしていた頃は、夜勤もあるシフト制の働き方でした。日によって睡眠時間がバラバラで、休みの日は寝るだけで終わってしまうような生活。疲れが全然取れず、体の調子が整わないまま、次の勤務が来る…そんな毎日でした。
でも、仕事を辞めたことで「夜に寝て、朝に起きる」という基本の生活が当たり前にできるようになりました。ちょうどその頃、夫の部署異動で在宅勤務が始まったことも重なり、夜は24時前に布団に入り、朝は少し遅めの8時半までゆっくり眠れるように。
これは私だけでなく、夫も同じ。在宅勤務になったことで、以前よりしっかりと睡眠時間をとれるようになりました。
お互いに、目覚ましで無理やり起きるのではなく、自然と目が覚める時間に起きられることで、体への負担がかなり軽くなったと感じています。規則正しい生活って、やっぱり大事なんだな…と、夫婦そろって実感しています。
③ストレスを溜め込まない生活を始めた
仕事を辞めたことで、日常のストレスがぐっと減りました。
ミスが許されない緊迫感や責任感から解放されたことに加えて、不妊治療の通院スケジュールを上司や同僚に説明したり、気を遣ったりする必要がなくなったことは、とても大きかったです。急な通院があっても、どんと構えていられるようになり、精神的な負担がかなり減りました。
正直、仕事を辞めると妊活のことばかり考えてしまって、逆にストレスになるかも…と不安もありました。でも実際は、妊活だけに集中するというよりも、自分のやりたいことに時間を使えるようになり、気持ちがうまく分散できています。それが結果的にストレス発散にもつながっているように感じます。
また、夫も部署異動で働き方が変わり、ストレスが減ったようです。以前は休日でも会社の電話対応に追われていたのですが、それが全くなくなり、仕事とプライベートの線引きがしっかりできるようになりました。
お互いに「ちゃんと息抜きできる」時間があると、疲れを溜めにくくなるんだなと実感しています。
④サプリメントを服用し始めた
実は、1回目の移植で妊娠していましたが、妊娠16週で後期流産となってしまいました。染色体異常の検査結果は「正常」。体の回復を待ちながら、不育症の検査も視野に入れ始めた矢先に、夫の転勤が決まりました。
新幹線での移動が必要な距離への引っ越しとなり、それに伴って、不妊治療のクリニックも転院することに。
転院先では不育症の検査を受け、その結果、私の亜鉛とビタミンD、さらに夫のビタミンDが不足していることが分かりました。
▼ 検査結果(一部)
私:亜鉛 68(基準値:80–130)、ビタミンD 27.0(基準値:30以上)
夫:ビタミンD 26.0(基準値:30以上)
この結果を受けて、医師からサプリメントをすすめられ、2人で服用を始めました。
サプリメントの用法・用量は本来1日1錠ですが、私の亜鉛値がかなり低かったため、「亜鉛は1日2錠を」と指示を受け、現在も継続中です。
採卵までは、サプリを飲み始めてから2ヶ月以上が経過していたので、卵子や精子の質に何かしらプラスの影響があったのかもしれません。
💡ここまでは、夫婦で一緒に取り組んできたことをご紹介してきました。
このあとご紹介する2つは、夫が個人的に意識してくれたことです。
ーーー
⑤お風呂の習慣を意識し始めた
私たち夫婦は、「重度の男性不妊で、体外受精をしても妊娠できないかもしれない」と医師に告げられたことをきっかけに、不妊治療を始めました。
男性不妊に詳しい泌尿器科でセカンドオピニオンも受けましたが、目立った精巣静脈瘤は見られず、処置は行わずに体外受精へのステップアップが有効とのことでした。
そのうえで医師からは、「ご主人ができることは生活習慣の改善。その中でも、精巣は熱に弱いので温めないように」とアドバイスを受けました。
夫はもともと、湯船に浸かりながらスマホを見るのが好きで、学生時代から長風呂の習慣があったそうです。10〜15分ならまだしも、気づけば1時間…ということも。
「これはやめたほうがいいね」と話し合い、それ以降は20分以内にお風呂を出るよう意識してくれています。とはいえ、つい長くなることもあるので、私から声をかけに行くこともしばしばです。
⑥パンツを履かない生活を始めた
医師からは「精巣を温めないように」と指導を受けましたが、夫はもともとボクサータイプの下着を着用していました。通気性のよさを考えてブリーフタイプへの変更も検討しましたが、どうも気に入らない様子…。
冬にはヒートテックタイツを重ねばきしていたこともあり、「いっそ、パンツ自体をやめてみようか?」と話し合い、試してみることにしました。
最初は少し戸惑っていたものの、思ったよりすぐに慣れたようです。ちょうどその頃から夫は在宅勤務が中心となり、家ではリラックスできるズボンを直接はいて過ごすスタイルが定着しました。今でも無理なく続けられています。
ちなみに、不妊治療を始める前の検査結果と比べて、最近はわずかに精子の成績が良くなってきています。「長風呂を控えたこと」や「パンツを履かないこと」も、もしかしたら影響しているのかもしれません。
それが胚のグレードに関わるほどの変化かは分かりませんが、少しでも前向きな変化であってくれたら――そんなふうに感じています。
まとめ
妊活・不妊治療中にはよく「生活習慣を変えましょう」「整えましょう」と言われますが、私は正直、「それで何が変わるの?」って思っていました。
だって、タバコを吸っていても妊娠する人はいるし、生活習慣をちょっと変えただけで授かれるなら、こんなに悩んでいる人はいないはずです。
それに私たちは、「体外受精でも妊娠できないかもしれない」と医師から言われたくらい。そんな状況で「生活習慣を見直せば妊娠できる」なんて、到底思えませんでした。
でも今回、振り返ってみると――私たちなりに「生活習慣を見直していたんだな」と気がつきました。
ただし、それはあくまで「無理なくできる範囲で」の話です。
妊活は短期で終わることもありますが、長期戦になることもあります。だからこそ、自分にとって負担にならない範囲で取り入れていくことが大事だと思います。
赤ちゃんのために…と最初は前向きな気持ちで頑張ろうと思っていても、無理をしてしまうと「これっていつまで続くの?」「しんどいな…」と、ついネガティブな気持ちになってしまうこともあります。
本来は前向きな気持ちで始めたはずなのに、妊娠・出産を望むことすら辛くなってしまったら、それは本末転倒だと思います。
だからこそ、できれば妊娠や出産に関係なく、続けられるようなことを選べたらいいですよね。
人によって「これは無理なくできる」「これはちょっと無理かも」は違います。また、ライフスタイルも考え方も人それぞれなので、正解はありません。
私たちの体験が、少しでもみなさんの生活を見つめ直すきっかけになれたら嬉しいです。
以上、みにぼぼでした!